工場の熱中症対策2026年総括
義務化の背景から効果があった最新グッズ・現場事例

工場の熱中症対策2026年総括
義務化2年目の振り返りと設備・冷却グッズ・導入事例

工場の熱中症対策

2026年は、2025年6月に職場の熱中症対策が義務化されてから2回目の夏となりました。

義務化への対応は進んだものの、「今年の対策で十分だったか、来年に向けて何を見直すべきか」と振り返りに悩む安全衛生担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、工場の熱中症対策について最新の動向から効果のあった設備・グッズ、実際の現場事例まで総まとめで解説します。 

工場勤務の方に加え、次のような仕事・現場の安全衛生担当者の方も参考にしてください。

  • 製造業
  • 建設業(建設工事現場)
  • 道路工事
  • ダム工事
  • プラント工事
  • 電柱の上での設備工事
  • 倉庫作業

ぜひ最後までご覧いただき、明日からの職場環境改善にお役立てください。 

義務化2年目を迎えた「工場の熱中症対策」のポイント

 2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則により、職場での熱中症対策は罰則付きの義務となりました。
義務化から2年目となる今、改めて対象条件と罰則を確認しておきましょう。  

熱中症対策義務化の対象条件

対象となるのは、次の暑熱条件と作業時間の条件を満たすことが見込まれる作業です。

  • 暑さ指数(WBGT値)が28℃以上または気温が31℃以上の環境下での作業
  • その環境で連続して1時間以上または1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業

工場以外にも、工事現場・道路工事・ダム工事・プラント工事・建設工事・電柱上の設備工事などが該当する可能性があります。WBGT計などを用いて、実際の作業場所の環境を確認してください。

出典:厚生労働省 鹿児島労働局「職場における熱中症対策の強化について~令和7年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行されます~」

違反した場合の罰則

事業者が上記の義務を怠った場合、労働安全衛生法第22条違反として「6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が科されるおそれがあります。

法人にも罰金刑が適用される場合があります。対象作業の有無を確認し、報告先や緊急時の対応手順を関係者に周知することが必要です。

2026年の対策を振り返る確認ポイント

今年の対策を評価する際は、設備を導入したかどうかだけでなく、実際の作業環境と運用記録を確認することが好ましいです。

  • 作業場所・時間帯ごとのWBGTや気温の記録を確認し、暑さが集中した工程や場所を整理する。
  • 休憩場所を利用できたか、水分・塩分補給や作業時間の調整を実行できたか、作業者に確認する。
  • 体調不良時の報告先を全員が把握していたか、作業離脱・身体冷却・医療機関への搬送などの手順に迷いがなかったかを振り返る。
  • 冷却ウェアの装着感、重量、バッテリー交換、作業動作との適合性を確認する。
  • 体調不良やヒヤリハットの記録から改善の優先順位を決め、来年の予算・担当者・導入時期を整理する。

設備の効果を比較する場合は、測定場所、気象条件、作業負荷などの違いも確認してください。
冷却グッズを活用しつつ、休憩や健康管理、緊急時の対応体制と組み合わせることが大切です。

工場が暑くなる原因と熱中症リスク

夏場の工場はなぜ暑くなりやすいのかを理解すれば、効果的な対策のヒントが見えてきます。工場特有の構造や作業環境には、以下のような熱がこもる要因があります。

屋根・外壁から伝わる熱

工場建屋の屋根や外壁は鉄板やコンクリート製であることが多く、強い日射を受けると蓄熱します。太陽の熱は建物内部へ伝わり、室温を押し上げます。

周囲に日陰を作る建物が少ない工場では、屋根や壁が直射日光にさらされ、日中は表面温度が高くなりやすいのも特徴です。室温の上昇を抑えるには、屋根・外壁からの熱侵入への対策が必要です。

空間の広さによる熱のこもり

工場内部は天井が高く床面積も広大です。家庭用エアコン程度では冷やしきれない大空間であり、空調の冷気が隅々まで行き渡りにくい構造と言えます。さらに、大型機械や高い棚が配置されていると風の通り道が妨げられ、空気が滞留しやすくなります。

広い工場全体を冷やす難しさを踏まえ、作業エリアの冷却や排熱、休憩場所の整備を組み合わせて検討しましょう。

搬入口から流入する熱気

工場や倉庫では資材や製品の搬出入のために、大きなシャッター扉を開ける場面があります。冷房をつけていても、開口部から冷えた空気が外へ逃げ、外の熱気が入り込みます。

真夏の日中は外気自体が高温であるため、開口部からの熱気流入が空調効果を低下させます。フォークリフトやトラックの出入りが避けられない現場では、この点を踏まえた対策が必要です。

製造機械から発生する熱

工場内で稼働する製造装置や加工機械も熱を発生させます。モーター、ポンプ、溶接機器などは動作中に熱気や放射熱を放出し、周囲の空気を暖めます。

たとえば、溶接作業では火花やアーク光とともに熱が発生します。また、熱い排気を出す機械の近くで作業する場合も、局所的な暑さに注意が必要です。外気温がそれほど高くない日でも、作業場所ごとの環境を確認してください。

実際に導入が進んだ暑さ対策の設備

工場内の熱中症対策では、設備面の工夫も効果絶大です。近年は多くの工場で様々な暑さ対策設備の導入が進みました。
ここでは、実際に現場で「効果があった」と評価されている代表的な設備を紹介します

屋根に遮熱塗装や遮熱シート

屋根に遮熱塗料を塗ったり、屋根裏に断熱シートを設置したりすることで、太陽熱が建物内部に伝わるのを抑えます。工場の建屋そのものを断熱・遮熱する対策です。

既存建屋への施工可否や効果は、屋根の材質・状態、施工範囲などによって異なります。建物の状況を確認し、空調負荷の軽減も含めて検討しましょう。

窓に遮熱フィルム

窓ガラスから差し込む日射への対策として、窓に遮熱フィルムを貼る方法があります。太陽の熱線を反射・吸収し、室内への熱流入を抑えます。

西日が当たる窓など、日射の影響が大きい場所から検討してください。ガラスとの適合性や採光への影響も確認しましょう。

大型扇風機・換気システム

広い工場内の空気を動かしてこもった熱気を排出するには、大型ファンや換気装置を活用する方法があります。天井や柱に据え付ける産業用大型扇風機は、室内の空気を攪拌し、温度ムラの低減を図る設備です。

換気扇や排気フードで機械から出る熱や湿気を屋外へ排出することも検討しましょう。送風だけでは室温を下げられないため、外気温や作業場所のWBGTを確認し、冷房や休憩と組み合わせてください。

スポットクーラー

工場全体を冷やすのが難しい場合、スポットクーラーで作業エリアを局所的に冷やす方法があります。

大規模な空調設備を増設しにくい場合も、電源や設置スペース、排熱経路を確認したうえで配置を検討できます。作業場所や休憩場所に冷風が届くようにし、熱い排気が作業者に当たらないよう注意してください。

出入口のビニールカーテン

大きな出入口からの熱気の流入を抑える方法として、ビニールカーテンの設置があります。透明で柔軟なビニール素材のカーテンを間口に吊り下げ、外気と室内を仕切ります。

冷気の流出を抑える効果が期待できますが、フォークリフトや歩行者の動線、視認性、避難経路を確保することが前提です。冬場の防寒も含め、年間を通じた利用方法を検討しましょう。

冷房休憩室

暑い現場で働く方が身体を冷やせる場所を用意することも大切です。可能であれば、工場内または隣接地にエアコンの効いた休憩室を設置しましょう。

水分を補給できる設備を置くとともに、作業者が休憩を取りやすい運用を整えてください。管理者から声を掛け、体調の変化を報告しやすい職場環境をつくることも重要です。

現場で実践された熱中症対策事例

実際の工場ではどのような暑さ対策が行われているのでしょうか。2025年以降に導入が進んだ最新アイテムの活用事例を2つ紹介します。現場の生の声から、その効果とポイントを見てみましょう。 

接着剤メーカーの事例

三重県伊賀市の日栄化工株式会社(三重工場)では、夏場に気温40℃近くに達する環境で接着剤を製造しています。

従来はファン付き作業着で暑さをしのいでいましたが、体温を超える気温では効果が薄く、2025年に新型冷却ベスト 「アイシングギア ベスト2」を導入。冷却パッドに冷水を循環させ、ペルチェ素子で冷やす仕組みで、従業員から「汗の量が減った」「移動や作業の妨げにならない」と好評です。

長時間装着時の重量やコストへの課題もありましたが、「40℃近い現場でも冷たさを実感できた」と評価され、安全性の向上に貢献しています。

参考記事:日栄加工株式会社様 導入事例


空調機メーカーの事例

 栃木県宇都宮市のクボタ空調株式会社(栃木工場)では、工場内や屋外作業で気温40℃を超える日が続き、従来のファン付き作業着では効果が限られていました。 

 チラー式の冷却ウェアもホースが作業の妨げとなり不採用に。そんな中、展示会で見つけた 「アイシングギア ベスト2」を導入。

屋内外など周りの環境に左右されず確実に冷感を得られる点と、ユニットを背中に背負う方式なので動作の妨げにならず動き回ることが多い現場で使用できることが決め手でした。

装着者からは「炎天下でも確実に冷たさを感じる」「ファン付き作業着と重ね着するとさらに快適」と好評で、従業員の健康維持に貢献しています。

参考記事:クボタ空調株式会社様 導入事例

工場の熱中症対策で備えておきたい便利グッズ

次の夏に向けて、個人で使う暑さ対策グッズの状態や運用方法も確認しましょう。ここでは、作業環境に応じて検討したい代表的なアイテムを紹介します。

ファン付き作業着

ファン付き作業着は、服に内蔵した小型ファンで衣服内に風を送り込み、汗の蒸発による気化熱で身体の冷却を補助します。

粉塵の多い環境や密閉性の高い防塵服との組み合わせなど、使用に適さない条件があります。高温・高湿度の環境では効果にも限界があるため、取扱説明書と作業環境を確認し、休憩や水分補給と組み合わせてください。

使い方や環境を見直すポイントは、以下の記事でも紹介しています。

>>「ファン付き作業着が「効かない」と感じる理由とは?効果を引き出す方法と代替策まで徹底解説」の記事へ

ペルチェ式冷却ベスト

ペルチェ素子という半導体に電流を流すと片面が冷却される性質を利用し、冷却プレートを身体に当てるベストです。送風とは異なる仕組みで身体を冷やします。

冷却範囲はプレートの大きさや配置によって異なり、身体に密着しないと冷感が得にくい場合があります。使用環境温度や連続使用時間など、製品ごとの仕様を確認して選んでください。

冷却タオル・冷感グッズ

作業の合間や休憩中に使える冷却タオルや保冷剤などを用意する方法もあります。たとえば、次のようなアイテムです。

  • 冷却タオル:水に濡らして使い、気化熱を利用するタオル
  • ヘルメット用冷却パッド:ヘルメット内で使用する冷却用パッド
  • アイスネックリング:首に装着して使う冷却グッズ

冷感の強さと身体の冷却効果は同じではありません。製品の使用方法を守り、体調確認や休憩を優先してください。

ペルチェと水冷を組み合わせた冷却服

医療メーカーが作るペルチェ式冷水循環服のバナー

日本シグマックスの「メディエイド アイシングギア ベスト2」は、ペルチェ素子で冷やした水を冷却パッド内に循環させる冷却服です。主な特徴は以下のとおりです。

  • ペルチェ素子を利用した「4C-Peltier System」を採用
  • 一定間隔で冷却に強弱をつける温度調節機能を搭載
  • 付属モバイルバッテリー使用時の使用時間は約5時間
  • インナーと冷却ユニットのセパレート構造
  • 身体の前方に熱源がある現場向けに、ベスト型冷却パッドも選択可能

付属バッテリーを含む使用環境温度は0℃~40℃です。実際の作業環境が仕様に適合するかを確認し、装着感や作業動作を試したうえで導入を検討してください。冷却服だけで熱中症を完全に防ぐことはできません。

熱中症対策に活用できる補助金・助成金

設備やグッズの導入費用を検討する際は、補助金・助成金の対象要件も確認しましょう。以下は2026年度の公式情報に基づく概要です。制度によって対象経費や申請期限が異なり、暑さ対策であればすべて対象になるわけではありません。

補助金・助成金 主な対象要件 対象経費・注意点
業務改善助成金(厚生労働省)

2026年度

中小企業・小規模事業者であること、事業場内最低賃金が2026年度の地域別最低賃金未満であることなど。事業場内最低賃金を50円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を実施する必要があります。 対象は生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等です。エアコン、冷却服、遮熱工事などが一律に対象となるとは限りません。具体的な設備の対象可否は管轄の労働局に確認してください。交付決定前の設備導入は対象外です。
エイジフレンドリー補助金(厚生労働省)

2026年度・熱中症対策コース

1年以上事業を実施し、役員を除く自社の労災保険適用の60歳以上の労働者が常時1名以上就労する中小企業事業者など。熱中症対策コースの対象は60歳以上の労働者です。 身体冷却機能のある服・装備、要件を満たす移動式スポットクーラー、専用の冷凍ストッカー、所定の機能を備えたウェアラブル健康管理システムなど。スポーツドリンク、アイススラリー、保冷剤そのものは対象外です。機器・作業環境ごとの条件を確認してください。

申請期限と導入前の注意点

  • 業務改善助成金:2026年9月1日から、申請事業場の都道府県に適用される地域別最低賃金の発効日の前日、または2026年11月30日のいずれか早い日まで。所在地によっては受付が終了している場合があります。
  • エイジフレンドリー補助金・熱中症対策コース:2026年5月20日から11月20日まで。予算額に達した場合は途中で受付を終了することがあります。専門家総合対策コース第1段階は9月30日までであり、コースによって期限が異なります。
  • エイジフレンドリー補助金では、交付決定前の発注や取組開始は対象外です。また、取組完了前の前払いにも注意が必要です。業務改善助成金も含め、発注・購入・施工前に制度ごとの手順を確認してください。

エイジフレンドリー補助金の熱中症対策コースでは、屋外、または温湿度調整を行ってもなお室温31℃またはWBGT28℃を超える屋内作業場などが対象です。スポットクーラーには排熱方法や標準使用期間などの条件があり、ウェアラブル機器には深部体温の推定や集中管理などの機能要件があります。特定の製品が補助対象になるかは、申請先に確認してください。

出典:厚生労働省「令和8年度業務改善助成金のご案内」「令和8年度エイジフレンドリー補助金のご案内」。公式情報確認日:2026年10月16日。

申請要件・対象経費・受付状況は変更される場合があります。申請時には、上記の公式ページから最新の交付要綱・要領・Q&Aを確認してください。すべての申請に交付が保証されるものではありません。

まとめ

工場の熱中症対策は、2025年6月の法令改正による義務化を受け、企業が確実に取り組むべき重要な課題となっています。工場特有の暑さの原因を把握し、設備の改善や冷却グッズの活用、現場での導入事例を参考にしながら、自社の作業環境に合った対策を進めましょう。

法令遵守に加え、従業員の命と健康を守るためにも、今年のWBGTや体調不良の記録、作業者の声を振り返ることが大切です。休憩・水分補給・緊急対応の運用を点検し、来年に向けた改善内容と導入時期を整理してください。

「メディエイド アイシングギア ベスト2」は、ペルチェ素子によって冷却された水が冷却パッド内を循環する水冷式の冷却服です。

当社独自の特許取得済のアイシング技術により、タンクレス構造と広範囲の冷却、作業性の両立を図っています。医療機器やサポーター製品で培った技術を詰め込んだ、日本シグマックスこだわりの製品です。

※熱交換装置およびウェア 第7576853号

医療メーカーが作るペルチェ式冷水循環服のバナー