工場の熱中症対策2025年総括
義務化の背景から効果があった最新グッズ・現場事例
2026.1.7

2025年は、熱中症対策が法律で義務化されるなど大きな転換点となった年です。一方で「従業員の熱中症を予防したいけど、何から手を付ければ良いのか…」と戸惑う安全衛生担当者も多いでしょう。
本記事では、工場の熱中症対策について最新の動向から効果のあった設備・グッズ、実際の現場事例まで総まとめで解説します。
なお、本記事は工場勤務の方以外にも以下のような仕事・現場で働く方に役立ちます。
- ● 製造業
- ● 建設業(建設工事現場)
- ● 道路工事
- ● ダム工事
- ● プラント工事
- ● 電柱の上での設備工事
- ● 倉庫作業
ぜひ最後までご覧いただき、明日からの職場環境改善にお役立てください。
2025年に進んだ「工場の熱中症対策」義務化の動き
2025年、厚生労働省による規制強化により、職場での熱中症対策がついに罰則付きの義務になりました。施行日は2025年6月1日で、一定の条件を満たす作業を行う事業者は必ず対策を講じなければなりません。
熱中症対策義務化の対象条件
法律で熱中症対策が義務づけられるのは、次の条件に該当する作業現場です。
- ● 暑さ指数(WBGT値)が28℃以上または気温が31℃以上の環境下での作業
- ● その環境で連続して1時間を超える作業または1日の合計作業時間が4時間を超える作業
工場以外にも、工事現場・道路工事・ダム工事・プラント工事・建設工事・電柱上の設備工事などが該当する可能性があります。
「自分の職場も該当するかも?」と不安な方は、WBGT計などで現場環境をチェックしてみてください。
出典:厚生労働省 鹿児島労働局「職場における熱中症対策の強化について~令和7年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行されます~」
違反した場合の罰則
もし事業者が上記の義務を怠った場合、労働安全衛生法第22条違反として「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されるおそれがあります。
法人にも同様に罰金刑が適用され、さらに労働基準監督署長によって作業停止命令(使用停止命令)が下される可能性もあります。
企業は法律を順守するのはもちろん、万全の備えで従業員の安全を守らなければなりません。社員を熱中症から守ることは企業に課せられた責任であり、安全管理者の最優先課題と言えるでしょう。
工場が暑くなる原因と熱中症リスク
夏場の工場はなぜ暑くなりやすいのかを理解すれば、効果的な対策のヒントが見えてきます。工場特有の構造や作業環境には、以下のような熱がこもる要因があります。
屋根・外壁から伝わる熱
工場建屋の屋根や外壁は鉄板やコンクリート製であることが多く、強い日射を受けると蓄熱します。太陽の熱は建物内部へどんどん伝わり、室温をじわじわ押し上げてしまいます。
周囲に日陰を作る建物が少ない工場では屋根や壁が直射日光にさらされっぱなしになり、日中は表面温度が高温になりやすいのも特徴です。
結果、対策をしなければ工場内の気温は外気よりも上昇し、作業環境が過酷化してしまいます。室温が上がれば熱中症のリスクも比例して高まるため、屋根・外壁からの熱侵入は見過ごせない問題です。
空間の広さによる熱のこもり
工場内部は天井が高く床面積も広大です。家庭用エアコン程度ではとても冷やしきれない大空間であり、空調の冷気が隅々まで行き渡りにくい構造と言えます。さらに、大型機械や高い棚がところ狭しと配置されていると風の通り道が妨げられ、空気が滞留しやすくなります。
こうした要因から、一度上がった室温を下げるのは容易ではありません。広い工場空間全体が「熱が抜けにくいサウナ状態」に陥り、作業者の体感温度も下がらず熱中症の危険が高まります。工場全体を冷やす難しさ自体が、熱中症対策の大きな課題です。
搬入口から流入する熱気
工場や倉庫では資材や製品の搬出入のために、大きなシャッター扉を開けっぱなしにする場面が頻繁です。せっかく冷房をつけていても、開口部から冷えた空気が外へ逃げてしまい、逆に外の熱気がどんどん入り込んでくるでしょう。
真夏の日中は外気自体が高温であるため、開放された扉から熱気が工場内に流れ込み、一気に室温が上昇します。こうした開口部からの熱気流入は空調効果を大幅に奪い、現場の暑さを助長する原因になります。
フォークリフトやトラックの出入りが避けられない現場では、この点を踏まえた対策が必要です。
製造機械から発生する熱
工場内で稼働する製造装置や加工機械も大量の熱を発生させます。モーター、ポンプ、溶接機器などは動作中に熱気や放射熱を放出し、周囲の空気を暖めてしまいます。
たとえば、溶接作業では火花やアーク光とともに強烈な熱が発生し、近くの空気を一気に高温にするのが特徴です。また、大型機械の中には稼働音と一緒に熱い排気を吐き出すものもあり、近くで作業する方は常に高温にさらされることになります。
外気温がそれほど高くない日でも、工場内では機械の熱が蓄積して蒸し風呂のようになり、熱中症のリスクが高まります。
実際に導入が進んだ暑さ対策の設備
工場内の熱中症対策では、設備面の工夫も効果絶大です。2025年には多くの工場で様々な暑さ対策設備の導入が進みました。
ここでは、実際に現場で「効果があった」と評価されている代表的な設備を紹介します。
屋根に遮熱塗装や遮熱シート
屋根に遮熱塗料を塗ったり、屋根裏に断熱シートを敷いたりするだけで、太陽熱が建物内部に伝わるのを大幅に抑えられます。工場の建屋そのものを断熱・遮熱する対策は、暑さ対策の基本です。
施工も比較的簡単で、既存の建屋でも取り入れやすい方法です。屋根裏の熱こもりを防ぐことで室温の上昇を緩和でき、空調負荷の軽減にもつながります。
窓に遮熱フィルム
窓ガラスから差し込む日射への手軽な対策として、窓に遮熱フィルム(断熱フィルム)を貼ることが挙げられます。遮熱フィルムは太陽の熱線を反射・吸収し、室内への熱流入を減らす効果があります。
貼るだけなのでコストも低く抑えられ、すぐ導入できるのがメリットです。窓から入る強烈な日差しを遮ることは室温上昇防止に直結します。なかでも西日の当たる窓にはしっかり対策して、午後の熱気をシャットアウトしましょう。
大型扇風機・換気システム
広い工場内の空気を動かしてこもった熱気を排出するには、大型ファンや換気装置の活用が効果的です。天井や柱に据え付ける産業用大型扇風機は、直径数メートルの大きな羽根でゆっくり大量の空気を攪拌し、室内の温度ムラを低減します。
停滞した熱い空気をかき混ぜることで、作業者の体感温度を下げられます。また、工場内の各所に換気扇や排気フードを設置し、機械から出る熱や湿気を含んだ空気を屋外へ積極的に排出することも効果的な熱中症対策です。
スポットクーラー
工場全体を一気に冷やすのが難しくても、スポットクーラーを使えば作業エリアの局所を集中的に冷やせます。
熱中症対策のために大規模な空調設備を増設するのが難しい場合でも、スポットクーラーなら電源さえ確保できれば柔軟に配置できるのも利点です。工場内に小さな避暑地を作るイメージで、休憩時や重労働時にいつでも冷風に当たれる環境を用意しましょう。
出入口のビニールカーテン
大きな出入口からの熱気の流入を抑制するのに有効なのがビニールカーテンの設置です。透明で柔軟なビニール素材のカーテンを間口に吊り下げると、フォークリフトや人の出入りはそのままに、外気と室内を仕切ることができます。
エアコンの冷気が逃げにくくなるうえ外からの熱気もシャットアウトできるため、空調効率が飛躍的に向上します。
ビニールカーテンは冬場の防寒対策にも役立つため、年間を通じて省エネ効果を得られるでしょう。比較的安価で導入しやすい対策なので、大きな開口部がある現場ではぜひ検討してみてください。
冷房休憩室
暑い現場で働く方がしっかり身体を冷やせる避難場所を用意することも大切です。可能であれば、工場内または隣接地にエアコンの効いた休憩室を設置しましょう。作業の合間に涼しい部屋で休めれば、上がった体温を効果的に下げられます。
自販機やウォータークーラーを置いておけば、水分補給の促進にもつながります。
ポイントは休憩を取りやすい雰囲気づくりです。「暑い中でも無理せず冷房で涼んで良いんだ」と皆が思える職場環境にしておくことで、熱中症を防ぎやすくなります。管理者は率先して声を掛け、休憩取得と冷房利用を促進していきましょう。
現場で実践された2025年の熱中症対策事例
実際の工場ではどのような暑さ対策が行われているのでしょうか。2025年に導入が進んだ最新アイテムの活用事例を2つ紹介します。現場の生の声から、その効果とポイントを見てみましょう。
接着剤メーカーの事例
三重県伊賀市の日栄化工株式会社(三重工場)では、夏場に気温40℃に達する過酷な環境で接着剤を製造しています。
従来はファン付き作業着で暑さをしのいでいましたが、体温を超える気温では効果が薄く、2025年に新型冷却ベスト「アイシングギア ベスト2」 を導入。冷却パッドに冷水を循環させ、ペルチェ素子で冷やす仕組みで、従業員から「汗の量が減った」「移動や作業の妨げにならない」と好評です。
長時間装着時の重量やコストへの課題もありましたが、「40℃近い現場でも冷たさを実感できた」と評価され、安全性の向上に貢献しています。
空調機メーカーの事例
栃木県宇都宮市のクボタ空調株式会社(栃木工場)では、工場内や屋外作業で気温40℃を超える日が続き、従来のファン付き作業着では効果が限られていました。
チラー式の冷却ウェアもホースが作業の妨げとなり不採用に。そんな中、展示会で見つけた「アイシングギア ベスト2」 を導入。屋内外など周りの環境に左右されず確実に冷感を得られる点と、ユニットを背中に背負う方式なので動作の妨げにならず動き回ることが多い現場で使用できることが決め手でした。
装着者からは「炎天下でも確実に冷たさを感じる」「ファン付き作業着と重ね着するとさらに快適」と好評で、従業員の健康維持に貢献しています。
工場の熱中症対策で備えておきたい便利グッズ
来たる夏に向けて、個人で手軽に使える暑さ対策グッズもぜひ準備しておきましょう。ここでは現場で重宝する代表的なアイテムを紹介します。
ファン付き作業着
いまや夏場の作業着の定番とも言えるファン付き作業着は、服に小型ファンを内蔵しスイッチ1つで服内部に風を送り込める優れものです。汗をかいても素早く蒸発させてくれるので、気化熱で身体を効率的に冷やせるのが特徴です。建設業をはじめ様々な業種で導入されています。
注意点としては、粉塵の多い環境では使用できない場合があることや、密閉性の高い防塵服の下に着られないことなどがあります。
もしファン付き作業着を着ても「全然涼しくならない…」と感じる場合、使い方や環境に原因があるかもしれません。ファン付き作業着の効果を最大化するコツや代替策については以下の記事を参考にしてください。
>>ファン付き作業着が「効かない」と感じる理由とは?効果を引き出す方法と代替策まで徹底解説
ペルチェ式冷却ベスト
電気の力で直接身体を冷やすペルチェ式冷却ベストも注目されています。ペルチェ素子という半導体を利用し、電流を流すと片面が冷却される仕組みを応用したベストです。
背中や脇腹など太い血管が通る部位に冷却プレートを当て、電気の力でそのプレート自体を冷やしてしまうというものです。外気温や湿度に左右されず、無風状態でも冷却効果を発揮できるのが強みとされています。
ただし、冷却範囲が限定的なため、動きが多い作業ではプレートが体に触れず冷却効果が得にくくなります。また、発熱側が熱を持つため、長時間使用時はベスト全体が少し暖かく感じる場合もあります。適宜ON/OFFしながら使うと良いでしょう。
冷却タオル・冷感グッズ
手軽に使える冷感グッズも熱中症対策に役立ちます。作業の合間や休憩中に身体をクールダウンするアイテムを用意しておきましょう。たとえば、次のようなグッズがあります。
- ● 冷却タオル:水に濡らして絞ると気化熱でひんやりするタオル
- ● 冷感ボディーシート:メントール入りの汗拭きシート
- ● ヘルメット用冷却パッド:ヘルメットの内側に貼るジェルタイプの冷却パッド
- ● アイスネックリング:首にかけるひんやりネックリング
- ● 貼る冷却シート:おでこや腕に貼る冷却ジェルシート
これらのグッズは価格も手頃なものが多く、個人でもすぐ導入できます。
2025年登場の最新ペルチェ+水冷のハイブリッド冷却服
- 最後に、2025年に発売された注目の最新冷却ウェアを紹介します。それが私たち日本シグマックスの「メディエイド アイシングギア ベスト2」です。
先ほどの事例にも出てきたとおり、ペルチェ式の電子冷却と水冷ジャケットを組み合わせたハイブリッド構造で、真夏の酷暑でも確実に身体を冷やせるよう開発しました。
主な特徴は以下のとおりです。
● 気温35℃以上の過酷な環境でも冷感を得られる
● 冷却ユニット内部のプログラムに温度を強弱させる独自の調節機能を搭載
● 大容量バッテリーと省エネ設計により、約5時間の連続冷却運転が可能
● 冷却ユニットと冷却パッドがセパレートになっているため様々なユニフォームに適応
今後の暑さ対策の手段として、ぜひ取り入れて欲しい最新アイテムです。
熱中症対策に活用できる補助金・助成金
ここまで設備改善やグッズ導入など様々な対策を紹介してきましたが、「対策したいけど費用が心配…」という企業担当者もいるでしょう。
2025年現在利用できる主な補助制度をまとめましたので、条件に合えばぜひ申請を検討してみてください。
| 補助金・助成金 | 対象 | 補助対象経費 |
| 業務改善助成金(厚生労働省) | 生産性向上のための設備投資と賃上げを行う中小企業 | エアコン付き休憩所の設置、スポットクーラー導入、空調服の購入、大型換気扇の設置、屋根や窓の遮熱工事など幅広い設備が該当 |
| エイジフレンドリー補助金(厚生労働省) | 60歳以上の高年齢労働者を雇用する中小企業 | 高齢労働者の安全衛生のための投資(ファン付き空調作業服、送風ファン、WBGT測定計、体調管理アプリ、遮熱設備の導入、研修費等) |
まとめ
工場の熱中症対策は2025年に大きく前進し、法律で義務化されるほど重要視される時代になりました。工場特有の暑さの原因を理解し、設備面の改善や最新グッズの活用、そして実際の成功事例から学ぶことで、現場の暑さ対策は確実にレベルアップできるでしょう。
大切なのは「従業員の命と健康を守る」という前向きな姿勢で、できる策を一つずつ積み重ねることです。今回紹介した対策をぜひ現場でも取り入れてみてください。万全の準備で酷暑に負けない安全・快適な職場を実現しましょう。
| 「メディエイド アイシングギア ベスト2」は、ペルチェ素子によって冷却された水がベストに内蔵されたパッド内を循環し、人体を快適な温度に保つ水冷式の冷却服です。 当社独自の特許取得済のアイシング技術※ で、タンクレスながらも広範囲かつ効率的に人体を冷却し、着用した人が快適と感じる温度管理と、作業性・可動性の両立を実現しています。 医療機器やサポーター製品で培った技術を詰め込んだ、日本シグマックスこだわりの製品です。(※熱交換装置およびウェア 第7576853号) |
