冷却服の効果を左右するのは冷却方式

5つの冷却方式の違いと選び方を徹底解説

ファン付き作業着と他の冷却ベストを徹底比較!

現場で選ばれる暑さ対策とは

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「冷却服を導入したものの思ったほど効果を感じられない」「種類が多すぎてどの冷却服を選べばよいかわからない」などの悩みを抱える安全管理担当者は少なくありません。冷却服の効果を左右する最大の要因は「冷却方式」です。

この記事では、冷却服の5つの冷却方式(ファン式・保冷剤式・氷式水冷・ペルチェプレート直接型・ペルチェ式水冷)の仕組み・メリット・デメリットを比較し、作業環境に合った選び方を解説します。

2025年6月施行の改正労働安全衛生規則による熱中症対策の義務化にも触れていますので、企業として早期に対策を講じるための参考にしてください。

冷却服にはどのような効果が期待できるのか

冷却服には、次の3つの効果が期待できます。

  • 体温上昇の抑制

  • 発汗量の軽減

  • 快適性向上による集中力維持

東京消防庁が消防活動を想定して実施した検証(室温40℃・湿度60%の暑熱環境下で防火衣を着装した条件)では、冷却ベスト着用により休息中の外耳道温度が有意に低下し、融点0℃の冷却材を装着する冷却ベストで推定発汗量が最も少なくなったと報告されています。

発汗量の抑制は脱水防止につながり、暑熱環境下で起こりやすい疲労の蓄積や集中力の低下、判断力の鈍化を軽減する効果も期待できるでしょう。

また、冷却服は設備面でもメリットがあります。スポットエアコンのような設置スペースが不要で、配管工事もいりません。着用者の身体を直接冷やすため即効性があり、導入にかかる時間やコストを抑えやすい点も大きな特徴です。

引用:東京消防庁「効果的な身体冷却に関する検証(第1報)

冷却服の効果はタイプで変わる|5つの冷却方式を比較

冷却服は冷却方式ごとにメカニズムが根本的に異なるため、同じ環境でも効果に大きな差が生まれます。ここからは、ファン式・保冷剤式・氷式水冷・ペルチェプレート直接型・ペルチェ式水冷の5タイプを順に紹介しますので、「自社の作業環境にはどの方式が合うか」という視点で読み進めてみてください。

ファン式(送風タイプ)

ファン式冷却服は、バッテリー駆動の小型ファンで外気をウェア内に取り込み、体表に大量の風を送ることで汗の蒸発(気化熱)を促し、体温を下げる仕組みの熱中症対策用作業服です。人体がもともと備えている発汗による体温調節メカニズム「生理クーラー」を補助する方式であり、ファン付き作業着として建設業や製造業の現場で広く普及しています。

メリットとしては、比較的低コストで導入できる点、ファンとバッテリーを含めても軽量で着用者の負担が少ない点が挙げられます。

ファン式は外気と同じ温度の空気を服内に送る仕組みです。そのため、気温35℃以上・湿度70%以上の高温多湿環境では温風が送られるだけとなり、ファン付き作業着の効果が著しく低下する点はデメリットと言えます。

粉塵が多い現場ではファンが粉塵を吸い込みウェア内に取り込むため、肌への付着や呼吸器への刺激のリスクも生じます。

ファン付き作業着の効果を最大限に引き出す方法や、効果が不十分な場合の代替策については以下の記事で詳しく解説しています。

>>ファン付き作業着が使えない現場とは?ファン付き作業着に代わる暑熱対策アイテム

保冷剤式

水冷式の冷却ベストは、タンクに入れた氷や保冷剤で水を冷やし、冷水をベスト内のチューブやパッドに循環させて体表面を冷やす仕組みです。外気温や湿度に左右されにくく、安定した冷却効果が期待できる点が水冷式冷却ベストのメリットといえるでしょう。

保冷剤式ベストは、冷凍庫で凍らせた専用保冷剤をベスト内側のポケットに装着し、脇や背中など太い血管が通る部位を直接冷やす仕組みの冷却服です。電源不要で繰り返し使用でき、保冷剤を交換すれば何度でも冷却効果を得られます。

メリットは、装着した瞬間から冷却効果が得られる即効性の高さです。電源が不要で場所を選ばず、粉塵が舞う現場や火気を扱う現場でも使用できる汎用性の高さも魅力です。

デメリットは、冷却効果が時間の経過とともに低下する点にあります。30℃の環境下でも3〜5時間程度で保冷剤の冷却効果が薄れるため、8時間のフルタイム作業をカバーするには予備の保冷剤が欠かせません。

保冷剤の重さによる着用者への身体的負担や、使用前に冷凍庫で凍らせる手間も発生します。長時間の連続作業には適さない冷却服といえるでしょう。

氷式水冷タイプ

氷式水冷タイプは、氷や保冷剤、凍らせたペットボトルをタンクに入れ、バッテリー駆動のポンプで冷水をベスト内部のシリコンチューブに循環させる方式の冷却服です。チューブは前面から背中まで通っており、胸部から背中まで広範囲を冷却できます。

メリットとして、外気温や湿度に左右されにくく、ファン式ではカバーしきれない高温多湿の環境でも一定の冷却効果を発揮する点が挙げられます。ファンを使わないため静音性に優れ、火を使う現場や粉塵の舞う現場でも使用可能です。

デメリットは、氷の補充が必要な点です。専用の保冷剤を使用時で約2時間30分〜3時間ほどで氷が溶けるため、作業現場近くに冷凍庫やクーラーボックスを確保しなければなりません。

水漏れリスクがあるため精密機器を扱う作業には不向きで、タンクやポンプの重量による着用者への負担も考慮が必要です。

ペルチェプレート直接型

ペルチェプレート直接型は、ペルチェ素子(電圧をかけると片面が冷却される半導体素子)に通電し、冷却面を首元や脇下に直接当てて身体を冷やすタイプの冷却服です。エアコンにも使われている「ペルチェ効果」を利用しており、電源を入れると瞬時に冷たくなる即効性が特長です。

メリットとしては、保冷剤の交換が不要で手間がかからない点、静音で場所を選ばない点、衣服が膨らまない点が挙げられます。

デメリットは、冷却面の設置位置が首元や脇下に固定されており、冷却範囲がピンポイントに限られる点です。体型によっては冷却箇所がズレてしまうケースもあります。同じ部位に冷却面を当て続けると冷たさに慣れてしまう問題や、通気性の悪い作業着を上から重ね着すると排熱がこもり、冷却効果が弱まるリスクにも注意が必要です。

ペルチェ式水冷タイプ

ペルチェ式水冷タイプは、ペルチェ素子で水を冷却し、電動ポンプで冷水をベスト内部のパッド(チューブ)に循環させて背中から脇の下まで広範囲を冷やすハイブリッド方式の冷却服です。

氷式水冷タイプの「時間とともに冷水がぬるくなる」課題と、ペルチェプレート直接型の「冷却面積が狭い」課題を同時に解決した方式として注目されています。

メリットは、ペルチェ素子が水を冷やし続けるため時間が経過しても冷却温度が低下しにくい点、パッドを通じて広範囲を冷却できる点、氷や保冷剤の補充が一切不要な点です。

デメリットとしては、冷却ユニットやバッテリーの重量が他方式よりやや重くなりがちな点と、価格帯がやや高い傾向にある点が挙げられます。

各冷却方式のメリット・デメリットや企業が冷却ベストを導入する理由については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。

>>【企業向け】冷却ベストを購入する時の選び方・比較まとめ

冷却服の効果を感じにくい3つの条件

冷却服の効果を感じにくい主な原因は、「環境条件」「方式と現場のミスマッチ」「サイズ・着用方法の問題」の3つに集約されます。ここからは、それぞれの原因と対策を順に解説します。

気温35℃以上・高湿度の環境で使用している

気化熱を利用するファン式冷却服は、外気と同じ温度の空気を服内に送り込む仕組みです。気温が体温に近い35℃以上になると取り込む風自体が熱風となり、冷却効果が大きく低下します。

ファン付き作業着の効果が得られる有効範囲は気温33℃・湿度50%を基準に設定されているケースが多く、この範囲を超える環境では本来の性能を発揮しにくくなります。

また、湿度70%以上の環境では、空気中の水蒸気が飽和に近づいて汗が蒸発しにくくなるため、気化熱による冷却メカニズム自体が機能しません。

>>ペルチェベストが「冷えない」「微妙」と言われる理由は?原因と対処法を整理

このような酷暑・高湿度環境で冷却服の効果を得るには、気化熱に頼らない方式(保冷剤式や水冷式、ペルチェ式)を検討する必要があります。

作業環境に合わない冷却方式を選んでいる

冷却服の比較検討が不十分なまま導入すると、方式と環境のミスマッチが起こります。典型的な例が、粉塵の多い現場でファン式冷却服を使用しているケースです。ファンが外気とともに粉塵を吸い込みウェア内に取り込むため、肌への付着や呼吸器への刺激が生じるだけでなく、ファンに汚れが溜まり故障の原因にもなります。

長時間作業の現場で保冷剤式のみに頼っているケースも、効果を感じにくい典型例です。保冷剤式は30℃環境下でも3〜5時間で冷却効果が薄れるため、8時間のフルタイム作業をカバーするには保冷剤の追加交換が不可欠で、現場の手間が増大します。

サイズや着用方法が適切でない

ファン式冷却服の場合、タイトすぎるサイズを選ぶとウェア内の空気循環がうまくいかず冷却効果が低下します。逆に大きすぎると身体を動かしにくくなり、作業性を損ないます。ファン式は空気がウェア内を流れるスペースを確保する必要があるため、正しくサイズを選ぶことが大切です。

保冷剤式・水冷式・ペルチェプレート直接型の冷却ベストでは、フィットしていないと冷却面(保冷剤やペルチェプレート、冷却パッド)が身体に密着せず冷却効率が落ちます。特にペルチェプレート直接型は脇下にクーラーを当てる設計で、体型によっては冷却箇所がズレてしまうケースもあるため、アジャスターベルトで微調整できる製品を選ぶと安心です。

職場の熱中症対策義務化と冷却服の位置づけ

2025年6月1日に改正労働安全衛生規則(第612条の2)が施行され、職場の熱中症対策が罰則付きで義務化されました。事業者に対しては、熱中症のおそれがある作業者を早期に発見するための体制整備等が義務付けられています。

法改正の背景には、令和6年(2024年)の職場における熱中症死傷者が1,257人(前年比約14%増)で過去最多となった現実があります。死亡者数は31人で、全体の約4割が建設業と製造業で発生しました。

こうした法規制の強化を踏まえると、企業が冷却服を導入することは、法令遵守にとどまらず従業員の安全確保・作業効率の向上・社会的信用の維持にもつながる有効な手段です。

引用:厚生労働省「令和6年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)を公表します

酷暑の現場で選ばれるペルチェ式水冷服「アイシングギア ベスト2」

ここまで解説した5つの冷却方式の比較を踏まえ、気温35℃以上の酷暑環境でも確かな冷感が得られるペルチェ式水冷服として注目されているのが、私たち日本シグマックスが開発した「メディエイド アイシングギア ベスト2」です。導入現場からのレビューでも高い評価を得ている本製品の特徴をご紹介します。

特許技術によるタンクレス構造とセパレート設計

従来のペルチェ式水冷服では水を溜めるチラータンクが必要であり、重量増や取り回しの悪さの原因となっていました。メディエイド アイシングギア ベスト2は特許取得済み(熱交換装置及びウェア 第7576853号)の独自循環システムにより、チラータンクを廃した「タンクレス構造」を実現しています。

セパレート構造も大きな特徴です。冷却ユニットが別体でアウターホルダーに収納する設計のため、冷却パッドを装着したインナーベストは普段のユニフォーム(作業着・防護服など)の下にそのまま着用できます。

実際に、倉庫業・物流業のSBS東芝ロジスティクス、製造業の冨士鍍金工業所、製造業・廃棄物処理のクボタ空調など幅広い業種で導入されています。

約1.8kgの軽量設計と5時間持続で半日の作業をカバー

メディエイド アイシングギア ベスト2の冷却ユニットは約800g、付属の大容量モバイルバッテリー(56,000mAh)は約1,030gで、合計約1.8kgです。氷式水冷タイプではペットボトルの氷・水・タンクを合わせると2kgを超えるケースが多い中、タンクレス構造により軽量化を実現しています。

冷却ユニットとバッテリーはアウターホルダーに収納してリュックのように背負う形になるため、重心が背中上部に集中し、体感的な重さが軽減されます。

フル充電で約5時間の冷却が持続するため、半日の作業をバッテリー交換なしでカバー可能です。交換用モバイルバッテリーをオプションで追加購入すれば一日中利用できます。

気温35℃以上の酷暑環境でも確かな冷感が得られる

ファン式冷却服は気温35℃以上で効果が著しく低下しますが、メディエイド アイシングギア ベスト2は気温35℃以上の酷暑環境でも確かな冷感が得られるよう設計しています。

ペルチェ素子で冷却した水をパッド内に循環させ、背中から脇の下まで広範囲を冷却する仕組みです。冷却効果は外気温ではなく冷水の温度に依存するため、気温が上がっても冷却性能を維持しやすい構造です。

導入事例では、冨士鍍金工業所が「40℃超の工場で冷たさを実感し、体感温度が2〜3℃低下した」との声や、日栄化工が「40℃近い環境でも冷たさを実感し、フォークリフト作業にも支障がなかった」との報告が寄せられています。

まとめ

冷却服の効果は冷却方式によって大きく異なります。ファン式・保冷剤式・氷式水冷・ペルチェプレート直接型・ペルチェ式水冷の5タイプにはそれぞれ得意な環境と苦手な環境があり、特に気温35℃以上の酷暑環境や高湿度環境ではファン式の効果が大幅に低下するため、方式選びが対策の成否を分けるポイントです。

2025年6月の法改正により職場の熱中症対策が罰則付きで義務化された今、企業として早期に対策を講じる重要性はこれまで以上に高まっています。

メディエイド アイシングギア ベスト2」は、ペルチェ素子によって冷却された水がベストに内蔵されたパッド内を循環し、人体を快適な温度に保つ水冷式の冷却服です。

当社独自の特許取得済のアイシング技術で、タンクレスながらも広範囲かつ効率的に人体を冷却し、着用した人が快適と感じる温度管理と、作業性・可動性の両立を実現しています。

医療機器やサポーター製品で培った技術を詰め込んだ、日本シグマックスこだわりの製品です。
熱交換装置およびウェア 第7576853号)

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