ファン付き作業着と他の冷却ベストを徹底比較!

現場で選ばれる暑さ対策とは

ファン付き作業着と他の冷却ベストを徹底比較!

現場で選ばれる暑さ対策とは

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製造業や建設業の現場で働いていると、夏場の暑さ対策として「ファン付き作業着と冷却ベスト、どちらを選べば良いのだろうか」という悩みを抱えることがあるでしょう。

本記事では、ファン付き作業着と冷却ベストの仕組みの違いから、冷却性能・コスト・重量などの比較、作業環境別の選び方まで幅広く解説します。

工事現場や工場内での作業はもちろん、道路工事やプラント工事、建設工事や電柱の上での設備工事など、酷暑環境で働く方にとって暑さ対策は命に関わる問題です。

建設業や製造業の現場で最適な暑さ対策ウェアをお探しの方は、ぜひ参考にしてください。

ファン付き作業着と冷却ベストの仕組み

ファン付き作業着と冷却ベストは、どちらも熱中症対策として現場で活用されている作業着ですが、冷却の原理が根本的に異なります。まずはそれぞれの仕組みを正しく理解しておきましょう。

ファン付き作業着は気化熱で体温上昇を抑える

ファン付き作業着は、腰部分に取り付けた小型ファンで外気を取り込み、衣服内を風が循環する仕組みです。取り込まれた外気は服と身体の間を流れ、汗を効率よく蒸発させることで体表面の熱を逃がします。

汗が液体から気体へ変化する際に周囲の熱を吸収する現象を「気化熱」と呼び、ファン付き作業着はこの原理を活用しています。風量はバッテリーの設定により調整可能です。

冷却ベストは冷却媒体で体表面を冷やす方式を採用

冷却ベストは、冷水・ペルチェ素子・保冷剤といった冷却媒体を用いて体表面を直接冷やす方式です。ファン付き作業着が「汗の気化熱」を利用するのに対し、冷却ベストは「冷却媒体の熱伝導」により冷感を得る点が大きく異なります。

外気温や湿度の影響を受けにくいため、高温多湿環境でも安定した冷却が期待できます。

● 水冷式

水冷式の冷却ベストは、タンクに入れた氷や保冷剤で水を冷やし、冷水をベスト内のチューブやパッドに循環させて体表面を冷やす仕組みです。外気温や湿度に左右されにくく、安定した冷却効果が期待できる点が水冷式冷却ベストのメリットといえるでしょう。

一方、水冷服のデメリットとして、定期的な氷・保冷剤の交換が必要であることや、タンクと冷水を含めた総重量が重くなりやすいことが挙げられます。こういった課題を解決するため、氷や保冷剤を冷却媒体とせず、ペルチェで水を冷やすペルチェ水冷式ベストが登場しています。

● ペルチェプレート式

ペルチェプレート式の冷却ベストは、電流を流すと片面が冷たくなる「ペルチェ素子」という半導体を利用した冷却方式を採用しています。ペルチェ素子を背中や脇の下に配置し、冷えた金属プレートを肌に近い位置に当てることで体温の上昇を抑える構造です。

バッテリーのスイッチを入れるとすぐに冷却が始まるため、即効性に優れている点が特徴のひとつといえます。

ペルチェプレート式のデメリットとして、冷却範囲が限定的になる傾向があります。軽量で取り回しが良い反面、十分な冷感が得られない場合があることは選定時に考慮が必要です。

一方で、ペルチェで金属プレートを冷やすのではなく、ペルチェで水を冷やす最新モデルは広範囲の冷却が可能です。

ペルチェ素子で冷やした水を循環させる「ペルチェ水冷式ベスト」の詳しい仕組みについては、以下の記事もあわせてご覧ください。

>>ペルチェベストが「冷えない」「微妙」と言われる理由は?原因と対処法を整理

● 保冷剤式

保冷剤式の冷却ベストは、凍らせた保冷剤をベストのポケットに入れて使用するシンプルな構造を採用しています。電源が不要なため動作音が発生せず、導入コストを抑えやすい点がメリットといえるでしょう。

ただし、保冷剤の冷却持続時間は環境温度に左右されやすく、気温35℃を超える猛暑日では1〜2時間程度で効果が薄れるケースも見受けられます。

予備の保冷剤を冷凍庫で保管・ローテーションする運用体制が求められるため、現場の冷凍設備の有無も選定時に確認することをおすすめします。

ファン付き作業着と冷却ベストを5つの視点で比較

ファン付き作業着と冷却ベストのどちらが自社の現場に適しているかを判断するためには、複数の観点から具体的に比較検討することが重要です。冷却性能・導入コスト・重量・静音性・メンテナンス性の5つの視点でそれぞれの特徴を整理していきます。

冷却方式 冷却性能
(猛暑への強さ)
導入コスト
(初期費用)
重量
(軽さ・動きやすさ)
静音性 メンテナンス性
(運用の手軽さ)
ファン付き作業着
(35℃以上では効果低下)

(比較的安価)

(約500g〜1kgで軽量)

(ファンの動作音がする)

(ファン清掃・充電)
水冷式(氷・保冷剤)
(持続時間が短い・広範囲)

(比較的安価)

(水と氷で1〜4kg)

(無音)

(氷の準備・交換・タンク清掃)
ペルチェ水冷式
(広範囲を安定的に冷却)

(初期費用は高め)

(約2kg)
 〇(ファン付き作業着より静か) 
(バッテリー充電・給水)
ペルチェプレート式
(即効性あり・範囲限定)

(安価〜中程度)

(軽量)

(ファン付き作業着より静か)

(バッテリー充電・プレート清掃)
保冷剤式
(持続時間が短い・範囲限定)

(非常に安価)

(約1〜2kg)

(無音)
(保冷剤の準備・交換)

冷却性能

気温35℃を超える猛暑日においては、冷却ベストの方が安定した冷却効果を発揮しやすいと考えられます。ファン付き作業着は外気を取り込む仕組みのため、気温が体温に近づくほど冷却効率が低下し、「風が熱風のように感じる」状況が起こりえるためです。

一方、水冷式やペルチェプレート式の冷却ベストは、外気温に左右されにくい冷却媒体を使用するため、高温環境下でも一定の冷却性能を維持しやすい傾向があります。

保冷剤式は使い始めの冷却効果に優れるものの、持続時間が短い点に注意が求められるでしょう。

導入コスト

初期費用を抑えたい場合は、ファン付き作業着が有利といえます。ファン付き作業着のウェア本体は3,000〜15,000円程度、ファン・バッテリーのスターターキットは10,000〜20,000円程度で、ウェアとセットにした場合は15,000〜25,000円前後が相場です。保冷剤式の冷却ベストも5,000〜20,000円程度で入手可能なモデルが多く、導入のハードルは低い傾向にあります。

一方、ペルチェ水冷式の冷却ベストは高度な冷却技術を搭載しているため、初期費用は高めとなるケースが多いでしょう。ただし、ランニングコストの観点では、毎日数十人分の氷を冷凍庫で準備・保管する手間や、電気代・設備費といった「見えない運用コスト」が削減できる点も、長期的な視点では高く評価されています。

重量

ファン付き作業着はファンとバッテリーを含めても500g〜1kg程度に収まるモデルが多く、軽量さの面で優位性があるといえます。ウェア本体はポリエステル素材であれば100〜400g程度と軽量です。長時間の着用でも身体への負担が少ない傾向にあります。

冷却ベストの重量は方式によって幅があります。保冷剤式は保冷剤を含めると1〜2kg程度です。氷式水冷タイプはタンクに水と氷を入れた状態で3〜4kgになるモデルもあり、作業中に大きなタンクを背負うと動きにくく、狭い場所での作業に支障が出る可能性もあります。

ペルチェ水冷式はタンクレス設計のモデルもあり、軽量化が進んでいるといえるでしょう。

静音性

ファン付き作業着はファンの動作音が発生するため、静かな環境では気になる場合があります。最大風量での使用時は約50〜60dB(デシベル)程度となり、普通の会話と同程度の音量です。

屋外の建設現場では周囲の騒音に紛れやすいものの、室内作業や会話の多い環境では動作音がストレスになるケースも考えられるでしょう。

ペルチェプレート式のベストも放熱用ファンを内蔵するモデルでは動作音が発生しますが、ファン付き作業着よりも静音です。水冷式(氷・保冷剤タンクタイプ)や保冷剤式はファンを搭載しないため、動作音がほぼ発生しない点が大きなメリットです。

メンテナンス性

それぞれの冷却方式によって、日常的なメンテナンスの内容と手間は異なります。導入後の運用負担を見据えて選定することが望ましいでしょう。

タイプ 主なメンテナンス内容
ファン付き作業着 バッテリー充電、プレートの清掃
水冷式(氷・保冷剤タンクタイプ) 冷水・氷の準備と交換、タンクの清掃
ペルチェ水冷式 バッテリー充電、給水、・清掃
ペルチェプレート式 バッテリー充電、プレートの清掃
保冷剤式 保冷剤の準備と交換

 

ファン付き作業着はファンへのホコリ詰まりが冷却効率の低下につながるため、定期的な清掃が推奨されます。水冷式(氷・保冷剤タンクタイプ)は氷の準備・交換の手間が日常的に発生し、タンクの衛生管理にも配慮が求められるでしょう。

ペルチェ水冷式は、バッテリー充電と給水が中心的なメンテナンス作業であり、定期的な水の補充も必要です。

作業環境別に見る暑さ対策ウェアの選び方

冷却方式の特性を理解したうえで、実際の作業環境に合った暑さ対策ウェアを選ぶことが、熱中症リスクの低減と作業効率の向上につながります。ここでは、建設現場・道路工事と工場内・製造ラインの2つの環境に分けて、適した冷却方式を紹介します。

建設現場・道路工事

風通しの良い建設現場や道路工事では、気温30℃程度であればファン付き作業着の気化熱効果が発揮されやすいです。ベストタイプであれば腕回りの動きを妨げず、足場上での作業にも対応しやすい傾向にあります。

ただし、気温35℃以上の環境では、ファン付き作業着の冷却効果が低下するため、水冷式冷却ベストや保冷剤ベストとの併用、または切り替えを推奨します。アスファルト上の道路工事では照り返しによる輻射熱で体感温度がさらに上昇するため、ファン付き作業着のみでの対策では不十分でしょう。

工場内・製造ライン

空調が不十分な工場内や熱源付近の製造ラインでは、作業環境の温度が高くなりやすい傾向にあります。湿度も高いため、汗の蒸発を前提とするファン付き作業着では冷却効果を十分に得られない可能性があります。

工場内で熱源に近い製造ラインでの作業や、密閉空間での組立作業といった環境では、ペルチェ水冷式やペルチェプレート式ベストが安定した冷却効果を発揮しやすいです。

粉塵が舞う製造ラインでは、ファンが粉塵を吸い込むリスクがあるため、ファン付き作業着の使用が制限される場合もある点に留意しましょう。

暑さ対策ウェアを選ぶ際のポイント

冷却方式や作業環境に加え、導入前に押さえておきたい実務的なチェックポイントがいくつかあります。使用環境の温湿度把握やバッテリー容量の確認、サイズの適合性、安全基準への対応を事前に検討しておくことで、導入後のミスマッチを防ぎやすくなるでしょう。

使用環境の気温と湿度を把握する

暑さ対策ウェアの効果は、使用環境の気温と湿度に左右されるため、現場の温湿度条件を事前に把握しておくことが重要です。

厚生労働省は、熱中症リスクの評価にWBGT(暑さ指数)の活用を推奨しており、作業場所にWBGT測定器を設置して定期的に計測することが望ましいとされています。

環境省の熱中症予防情報サイトでは、全国各地のWBGT実況値・予測値を確認することも可能です。

出典:環境省「暑さ指数(WBGT)の実況と予測

作業時間に見合うバッテリー容量を選ぶ

ファン付き作業着・冷却ベストともにバッテリー駆動のモデルがほとんどであるため、作業時間に見合うバッテリー容量を選定することが快適な使用につながります。

ファン付き作業着のバッテリーは、メーカーや機種により差がありますが、最大風量で4〜8時間、省エネモードでは8〜18時間程度稼働するモデルが一般的です。

ペルチェ式や水冷式の冷却ベストはファン付き作業着よりも消費電力が大きい傾向があるため、連続使用時間の確認が欠かせません。1日の作業時間が長い場合は、予備バッテリーの携行や充電環境の確保を事前に計画しておくことが望ましいでしょう。

サイズ・調整機能を確認する

暑さ対策ウェアはサイズが合っていないと十分な冷却効果を得られない場合があります。冷却ベストのパッドやプレートが体表面にしっかり密着していなければ、冷却媒体の熱伝導効率が下がってしまうためです。

ファン付き作業着においても、大きすぎるサイズでは風が袖口や裾から抜けてしまい、衣服内を十分に循環しない可能性があります。アジャスター機能やストレッチ素材の有無など、フィット性を高める調整機能が充実しているモデルを選ぶことで、体型の個人差にも対応しやすくなるでしょう。

フルハーネス対応など現場の安全基準に合わせる

高所作業ではフルハーネス型墜落制止用器具の着用が義務化されているため、暑さ対策ウェアがフルハーネスと干渉しないかの確認が不可欠です。ファン付き作業着ではファン位置がハーネスのベルトに塞がれてしまうケースがあり、冷却効率の低下や安全面のリスクにつながりかねません。

前述の粉塵に加え、溶接時の火花や化学物質がファンから侵入し、重大な事故につながるケースも報告されているため、ファン付き作業着の使用が制限される場合もあります。火花がファンから侵入し、内部の衣類に着火する事故事例も報告されているため、作業内容に応じた安全基準を満たす暑さ対策ウェアを選定することを推奨します。

フルハーネス対応の冷却服の選び方については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。

>>ファン付き作業着が使えない現場とは?ファン付き作業着に代わる暑熱対策アイテム

注目のペルチェ水冷式冷却ベスト「アイシングギア ベスト2」とは

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私たち日本シグマックスは、ファン付き作業着の「気化熱方式」と、従来の冷却ベストが抱えていた課題の両方に向き合い、ペルチェ式冷水循環服「アイシングギア ベスト2」を開発しました。

「メディエイド アイシングギア ベスト2」は、ペルチェにより冷却された水がベストに内蔵されたパッド内を循環し、人体を快適な温度に保つ水冷式の冷却服です。

当社独自の特許取得済のアイシング技術で、タンクレスながらも広範囲かつ効率的に人体を冷却し、着用した方が快適と感じる温度管理と、作業性・可動性の両立を実現しています。

医療機器やサポーター製品で培った技術を詰め込んだ、日本シグマックスこだわりの製品です。

熱交換装置およびウェア 第7576853号

製品の詳細はこちらをご覧ください。

まとめ

ファン付き作業着は導入コストと軽量性に優れる一方、気温35℃以上の猛暑環境では冷却効果が低下しやすい傾向があります。ペルチェ水冷式の冷却ベストは、外気温に左右されにくい安定した冷却が期待できるため、酷暑現場での活用に適しているといえるでしょう。

2025年6月からは職場の熱中症対策が法的に義務化され、企業には従業員の安全を守る一層の取り組みが求められています。まずはWBGT値の測定による作業環境の把握から始め、自社に最適な暑さ対策ウェアの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

熱中症対策について、より詳しい情報は以下の記事もあわせてご覧ください。

>>【企業向け】すぐに導入できる熱中症予防・対策グッズ特集


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