ペルチェベストとは?
冷却服の種類と選ぶポイント、
利用されている業界について解説
ペルチェベストとは?
冷却服の種類と選ぶポイント、
利用されている業界について解説

連日の猛暑が続くなか、労働現場の熱中症対策はもはや任意の取り組みではなくなりました。2025年6月に施行された改正労働安全衛生規則により、一定の暑熱環境で作業を行う事業者には、罰則付きで熱中症対策が義務付けられています。こうしたなかで注目を集めている熱中症対策の1つが「ペルチェベスト」です。
ペルチェベストは、ペルチェ素子を用いて体を冷やす冷却服です。ファン式や保冷剤式とは異なり、電気の力で冷却部そのものを冷やし、体を直接冷却できるのが特徴です。冷却服には冷却方式によって複数の種類があり、冷え方や使いやすさ、メンテナンス方法が異なります。そのため、冷却服の導入を検討する場合は作業環境や使用時間、管理のしやすさを考慮して選ぶことが大切です。
本記事では、ペルチェベストの基本的な仕組みや、利用されている業界、冷却服の種類、選ぶ際のポイントについて解説します。読み終えるころには、ご自身の現場に合う冷却服のタイプを判断できるようになるはずです。
ペルチェベストの基礎知識
ここでは、ペルチェベストの定義とペルチェ素子を用いた冷却の仕組みをご紹介します。
ペルチェベストとは
ペルチェベストとは、ペルチェ素子を搭載した冷却服の1つです。主に首元や背中、脇付近など太い血管が通る部位を冷やす目的で使用され、暑熱環境の労働現場において熱中症対策の手段として活用されています。
ペルチェ素子を用いた冷却ベストの仕組み
ペルチェ素子を用いた冷却ベストは、ペルチェ素子に電気を流した時に生じる温度差を利用して体を冷やす仕組みになっています。ペルチェ素子は電流を通すことで片面が熱を吸収し、もう片面が熱を放出します。一般的なペルチェベストは、冷却面を体側に向けることで、ペルチェベストの着用時に冷たさを感じられます。イメージとしては、冷えた缶飲料を肌に当てた時のようなひんやり感が、電源を入れている間続く感覚です。
一方で、冷却面の反対側は熱が発生するため、冷却性能を保つには排熱の仕組みも重要です。排熱がうまくできない場合、冷却効果が下がる可能性があるため、ペルチェベストを選ぶ際は冷却性能だけでなく、排熱構造も確認しましょう。
ペルチェベストが活躍する主な業界
ペルチェベストが利用されている主な業界は、次の通りです。
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建設業、製造業、倉庫業、運送業、警備業、商業、農業、林業 など
例えば、建設業や農業、林業では、直射日光を受けながら作業する場面が多々あります。製造業や倉庫業、運送業では、工場内や荷さばき場、車両周辺などで熱がこもりやすくなります。また、警備業や商業施設の屋外作業では、同じ場所に長時間立ち続けるケースもあり、体に熱がたまりやすい環境です。このような業界の現場において、ペルチェベストは熱中症対策の1つとして活躍しています。
冷却服は大きく4つの冷却方式がある
冷却服には、大きく分けて4つの冷却方式があります。それぞれ冷やし方や使用時間、準備の手間、メンテナンス方法が異なります。労働現場に導入する際は、作業環境や使用時間、準備のしやすさ、管理の負担を踏まえて選ぶことが大切です。どの方式が優れているかではなく、自分の現場に合うのはどれかという視点で読み進めてみてください。
1.ファン式
ファン式は服に取り付けた小型ファンで外気を取り込み、衣服内に風を送る冷却方式です。衣服内に空気を循環させることで体の熱や汗による蒸れを逃がすとともに、気化熱により体を冷やすことができます。軽作業や比較的涼しい環境下での作業に適している点が特徴です。一方で、外気を取り込むため、気温が高い場所では冷却効果を感じにくい点がデメリットです。また、粉塵や埃が多いなど、作業環境によってはファン式が不向きなケースもあります。
2.保冷剤式
保冷剤式は、冷凍した保冷剤をベストや作業服のポケットに入れて体を冷やす方式です。背中や脇、胸元などに保冷剤を配置することで冷感を得られます。電源を使わないため、バッテリーの充電や配線管理が不要な点が特徴です。一方で、保冷剤は時間が経過すると温度が上がるため、長時間使用する場合は交換用の保冷剤や冷凍環境を準備する必要があります。
3.氷式水冷
氷式水冷は、氷や保冷剤で冷やした水をベスト内のチューブに循環させる冷却方式です。冷たい水がベスト内を流れるため、背中や胸まわりなどを広く冷却できます。冷水が流れる範囲に沿って冷感を得やすいのが特徴です。一方で、長時間の作業現場では、氷の補充や保冷剤の交換が必要になります。使用後も「水を抜く」「タンクを洗う」などの管理が発生します。
4.ペルチェ式(ペルチェベスト)
ペルチェ式には、ペルチェプレートで直接体を冷やす「ペルチェプレートタイプ」と、ペルチェ素子で冷やした水を循環させる「ペルチェ式水冷タイプ」の2種類があります。どちらもペルチェ素子を使いますが、冷やす範囲や使い方が異なります。
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ペルチェプレートタイプ
ペルチェプレートタイプは、ペルチェ素子に通電し、プレートの冷却面を直接体に当てて冷やす方式です。首元や背中など太い血管が通る部位を集中的に冷やす場合に向いており、冷却面が体に当たるため、冷感を得やすい点が特徴です。一方で、冷却範囲が限られ、同じ部位に冷却面を当て続けるため、冷たさに慣れて冷感が得にくくなるという課題があります。
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ペルチェ式水冷タイプ
ペルチェ式水冷タイプは、ペルチェ素子で冷却した水をチューブ内に循環させる方式です。冷却水がチューブを通ってベスト内に流れるため、ペルチェプレートで直接体を冷やすタイプよりも広い範囲を冷やせることが特徴です。また、ペルチェ素子が水を冷やし続けるため、電気の供給が続く限り冷却温度が維持される点もメリットです。一方で、ファン式の冷却服と比べるとバッテリーの持ち時間が短い点や重量が増す点など、導入前に労働現場とすり合わせておく必要があります。
| 冷却方式 | 冷え方 | 向いている現場 | 準備・管理の手間 |
| ファン式 | 気化熱+風で体の熱や汗の蒸れを逃がす | 比較的涼しい環境での軽作業 | バッテリーの充電 |
| 保冷剤式 | 保冷剤の冷たさが直接伝わる | 電源を使えない現場や短時間の作業 | 保冷剤の冷凍・交換 |
| 氷式水冷 | 冷水が流れる範囲を広く冷やす | 広い範囲を冷やしたい現場・短時間の作業 | バッテリーの充電、氷の準備・補充、使用後の水抜き・タンク洗浄 |
| ペルチェ式 | 電気で冷却部を冷やし続ける | 気温が高い環境や長時間の作業 | バッテリーの充電 |
冷却服は方式によって冷え方や運用のしやすさなどが異なるため、詳しい内容は以下をご確認ください。
>>「冷却服の効果を左右するのは冷却方式5つの冷却方式の違いと選び方を徹底解説」の記事へ
ペルチェ式を選ぶポイント
ペルチェ式の冷却服を選ぶ場合は、冷却力だけでなく、冷却範囲や使用時間、動きやすさ、メンテナンス性を確認することが大切です。ここでは、ペルチェプレートタイプとペルチェ式水冷タイプのメリットとデメリットをご紹介します。
| 種類 | メリット | デメリット |
| ペルチェプレートタイプ |
・プレートの冷却面を体に直接当てるため、冷感が得やすい ・首元や背中など太い血管が通る部位を集中的に冷やせる ・構造が比較的シンプルな製品が多い |
・冷却範囲が限定的 ・冷却が局所的で一定温度のため冷たさに慣れやすい ・冷却部が体にフィットしにくく、作業内容によっては冷感が得られにくい ・冷却部と排熱部(放熱部)が一体化しているため、装着方法の制限が大きい |
| ペルチェ式水冷タイプ | ・冷却した水を循環させるため、広い範囲を冷やせる ・動きのある作業でも冷却部が体にフィットし常に冷感が得やすい ・装着方法の自由度が大きい |
・定期的に水の交換が必要 ・製品によって重さや着用感が異なる |
おすすめはペルチェ式水冷タイプ
ペルチェ式の冷却服を選ぶ場合、冷却範囲の広さや冷感の得やすさから「ペルチェ式水冷タイプ」がおすすめです。特に暑熱環境で長時間作業する現場や、通気環境を整えにくく熱がこもりやすい現場で活躍します。ここでは、ペルチェ式水冷タイプの製品である「メディエイド アイシングギア ベスト2」のポイントを3つご紹介します。
ポイント1. 機能性
メディエイド アイシングギア ベスト2は、タンクレス構造により軽量化されている点が特徴です。冷却に必要なのは少量の水とバッテリーのみで、氷や保冷剤を準備する必要がありません。付属バッテリーを使用した場合は、約5時間の連続使用が可能です。
また、冷却ユニットとバッテリーは、リュックのように背負って使用できます。重さを感じにくい設計のため、立ち作業だけでなく、動き回る作業にも適しています。さらに、冷却ユニットとインナーが分かれたセパレート構造のため、さまざまなユニフォームと組み合わせて着用できます。
ポイント2. 多様な作業環境への対応力
メディエイド アイシングギア ベスト2は吸気口を背中側に配置し、体の外側に向かって排気する構造により粉塵や埃が舞う現場でも使用できる点が特徴です。一方、ファン式の冷却服は外気を衣服内で循環させる仕組みのため、粉塵や埃が多い環境では使用が難しい場合があります。また、従来の保冷剤や氷を使う冷却服は、時間の経過とともに氷が溶けてぬるくなり、冷却力が落ちてしまう点がデメリットです。その点、メディエイド アイシングギア ベスト2はバッテリーの電力でペルチェ素子が直接水を冷却して適切な温度管理を行うため、冷却効果が維持できます。そのため、酷暑環境でも快適で確かな冷感を安定して持続することができます。
ポイント3. メンテナンス性
メディエイド アイシングギア ベスト2は、冷却ユニット・バッテリー・インナーベストを分けられる構造のため、点検や清掃がしやすい点が特徴です。冷却ユニットやバッテリーなどの電気部品や冷却パッドを取り外したうえで、インナーベストとユニットホルダーは洗濯機で洗濯ができます。そのため、汗や汚れが気になる暑熱作業でも、体に触れる部分を清潔に保てます。
「メディエイド アイシングギア ベスト2」については、以下で詳しく解説しています。
よくあるご質問(FAQ)
ここでは、ペルチェベストに関するよくある質問にお答えします。
Q1:冷却服とペルチェベストの違いは?
A1:冷却服は熱中症対策用ウェア全般を指します。その中でファン式や保冷剤式、氷式水冷、ペルチェ式といった種類があり、それぞれ冷却方式が異なります。ペルチェベストとはペルチェ式全般のことをいい、ペルチェ素子を搭載した冷却服のことを指します。ペルチェベストにも2種類があり、ペルチェプレートタイプとペルチェ式水冷タイプがあります。
Q2:ペルチェベストは何時間くらい冷却できるの?
A2:一般的なペルチェベストの冷却時間は、製品や付属のバッテリー、温度調整機能によって変わります。「メディエイド アイシングギア ベスト2」の標準的な使用時間は、約5時間です。長時間の作業が想定される場合は、必要に応じて予備バッテリーを用意しておきましょう。
Q3:ペルチェベストは洗濯できるの?
A3:ペルチェベストは、製品によって洗濯できる部分と洗濯できない部分があります。多くの場合、ペルチェ素子やバッテリー、ケーブル、ポンプなどの電気部品に関わる部分は洗濯できません。そのため、これらの部分を取り外したうえで、ベスト本体のみを洗濯する必要があります。「メディエイド アイシングギア ベスト2」の場合も、洗濯前に冷却ユニットやバッテリー、冷却パッドなどを取り外し、ベスト本体やユニットホルダーを洗濯します。また、生地の傷みやほつれを防ぐため、必ず洗濯ネットを使用してください。洗濯後はタンブル乾燥を避け、日陰で吊り干しをしましょう。
Q4:ペルチェベストは「冷えない」って本当?
A4:ペルチェベストそのものが冷えないわけではなく、製品の構造や使い方によって体感は大きく変わります。ペルチェプレートタイプは冷却面が体に密着していないと冷たさが伝わりにくいため、体格に合ったサイズを選ぶことが大切です。また、排熱がうまくできない製品は冷却性能が下がる場合があります。「冷却面が体に当たる設計か」「排熱の仕組みがあるか」を購入前に確認することで、冷えないという失敗を避けやすくなります。
「メディエイド アイシングギア ベスト2」は、ペルチェ素子によって冷却された水がベストに内蔵されたパッド内を循環し、人体を快適な温度に保つ水冷式の冷却服です。
当社独自の特許取得済のアイシング技術※で、タンクレスながらも広範囲かつ効率的に人体を冷却し、着用した人が快適と感じる温度管理と、作業性・可動性の両立を実現しています。
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(※熱交換装置およびウェア 第7576853号)
